ストレスがかかる出来事、あるいは病気によって猫が食欲不振に陥ると、肝臓に脂肪が蓄積され脂肪肝になります。これを肝リピドーシスといいます。
食べ物から栄養を得られないために、体脂肪を分解してエネルギーを得ようとしますが、肝臓での脂肪処理能力には限界があるため、肝臓に脂肪がどんどん蓄積されることで脂肪肝になります。太った猫では動因される脂肪が多いために、肝リピドーシスが発生しやすくなります。蓄積した脂肪のために肝臓は腫大し、黄疸、体重減少、下痢、嘔吐、元気消失などが症状として現れます。
治療において最も重要なことは、基礎疾患の治療を行うとともに、栄養補給を行うことです。食欲刺激剤を与えたり、それでも足りない場合は経鼻カテーテルや胃瘻チューブを設置して栄養補給を行います。
糖尿病、腎不全、腫瘍などの病気で食欲不振に陥りますし、またある種の薬剤や毒物での肝障害で肝リピドーシスが起きる事があります。特に太った猫では要注意なので、猫がごはんを食べないというときはご相談ください。
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太った猫で多い肝リピドーシス
10年08月31日
8月28日 葉月会皮膚病学セミナー
10年08月28日
自己免疫性皮膚疾患
東京農工大学 岩崎利朗教授
今回は、自己免疫性皮膚疾患と考えられる疾患、天疱瘡群、水疱性類天疱瘡、エリテマトーデス群、Vogt-koyanagi-Harada症候群についての講義を受けました。自己免疫性疾患は多くない疾患で、多くの自己免疫性皮膚疾患の診断は生検、皮膚病理組織学検査に基づきます。治癒しないので、その旨と管理が重要な飼い主様に説明する事が重要です。
天疱瘡群がもっとも一般的な自己免疫生皮膚疾患で、犬でまれで、猫で非常にまれで起こります。皮膚、粘膜に水疱あるいは膿疱を示し、デスモソーム蛋白に対する自己抗体を有しています。膿疱、痂皮下の細胞診では変性のない好中球と大型の棘融解細胞が認められます。紫外線で悪化する場合があります。
水疱性類天疱瘡は皮膚と真皮間の基底膜の接着蛋白に対する自己免疫を有します。擦過部位の水疱、びらん、潰瘍、痂皮が主な症状です。エリテマトーデスは、様々な全身性の症状(発熱、蛋白尿、関節炎等)や皮膚の症状を示します。
またVogt-koyanagi-Harada氏病は、ブドウ膜炎、皮膚の色素脱失、粘膜びらんがあり、メラニン、メラノサイトに対する自己抗体が原因で、秋田犬、ハスキー。マラミュートが好発犬種です
今回の免疫性疾患は、珍しい疾患ではありますが、治癒しない疾患であり、しっかりとした診断と、飼い主様への説明が必要と思いました
8月26日 心エコーセミナー
10年08月27日
宮崎大学 獣医外科学教室 萩尾 光美先生
今回は、右傍胸骨四腔断面像の流入路および流出路像、右傍胸骨短軸断面像の描出方法について教えていただきました。各断面において評価する場合、どのような点に注意して描出すればよいかを教科書には載っていない範囲まで細かく教えていただき、より再現性の高い評価をすることができるようになりました。
犬のアトピー性皮膚炎
10年08月24日
犬のアトピー性皮膚炎は皮膚のアレルギー疾患として最も多くみられる疾患で、一般的に1~3歳で臨床兆候が現れはじめます。初期には季節性の場合もありますが、次第に通年性になります。(ごく軽度の症例では、季節性のままの場合もあります)典型的な症状は、顔面、指趾、耳、鼡径部などの紅斑や痒みで、そのほかに皮膚や耳に感染症を伴うことが多いです。ほとんどの症例では環境アレルゲンが引き金となって症状が現れますが、食物アレルゲンや非アレルギー性(内因性疾患など)に症状がでることもあります。
アトピー性皮膚炎は環境アレルゲンや、皮膚の二次感染、食物アレルギーなどの増悪因子によって症状が悪化することがしられています。アトピーの治療は炎症と搔痒をコントロールするとともに、シャンプーや抗菌薬、食餌中のアレルゲンの特定、除去などをおこなうことによって増悪因子をコントロールすることが重要です。
さらに近年、皮膚のバリア機能の障害が増悪因子になっているという報告もあります。これは皮膚のバリア機能の障害によって、アレルゲンの浸透性が高まるからであると考えられています。さらにアトピー性皮膚炎が出やすい部位(顔面、指趾、耳、鼡径部など)は他の部位に比べて浸透性が高いことも知られています。これらのことから、皮膚のバリア機能の改善を行うことがアトピー性皮膚炎の予防につながるのではないかと考えられます。
8月21日 葉月会腫瘍学セミナー
10年08月22日
体表腫瘤の診断と治療
酪農学園大学 廉澤 剛先生
今回は、多くの腫瘍治療の第一選択である外科的切除について講義して頂きました。特に腫瘍外科において重要な点であるサージカルマージンについてのお話は非常に分かりやすく、肥満細胞腫やワクチン接種部肉腫などの周辺組織への浸潤性の高い腫瘍においては腫瘍下の筋膜も同時に切除することが重要であることを再認識することができました。
8月22日葉月会依頼手術
10年08月22日
廉澤 剛教授酪農学園大学獣医学部獣医学科伴侶動物医療部門(腫瘍科)
腹腔内陰睾・前立腺腫瘤バイオプシー・胃腫瘍切除
胃の腫瘍は漿膜側の下層にありCTで血管の浸潤が少なく見えたもので
きれいに剥離切除できました。外科は1つとして同じ症例は無くいつもそれぞれ
新鮮で勉強になります。廉澤先生による依頼手術を月に1回葉月会では請けております。
腫瘍外科、困難な症例、特殊器具を必要とする手術など、ご連絡いただけましたらできるかぎり
対処させていただきます。
8月19日 葉月会組織細胞学セミナー
10年08月19日
貯留液の検査
アイデックスラボラトリー 平田 雅彦 先生
今回は胸水、腹水の検査について講義していただきました。一口に胸水、腹水といっても、その原因となる疾患は多岐に渡り、その治療法も異なってきます。その原因を探すためには、胸水、腹水の性状検査、血液検査、レントゲン検査、エコー検査等を行い総合的に判断していくことが必要となります。今回のセミナーではそのポイントを分かりやすく説明していただき大変勉強になりました。
ネコの糖尿病
10年08月17日
ネコの糖尿病の発生には、年齢、体重、性別、遺伝的素因、基礎疾患、その他多くの要因が関与していると考えられていますが、これらの要因がインスリンの感受性を低下させて高血糖を生み出し、持続的な高血糖がインスリン分泌細胞の機能不全を招くことによってインスリン不足になり、さらなる高血糖を生み出すという病態をとります。つまり、中年齢以上の雄に発生が多く、肥満は糖尿病の発生率を3~5倍にすると考えられています。また、食事もネコの糖尿病の発生要因と考えられており、炭水化物を多量に含む食事はインスリン感受性を低下させるために糖尿病発症のリスクを高めると考えられています。さらにネコの糖尿病は、慢性膵炎や腎不全、甲状腺機能亢進症、副腎皮質機能亢進症など他の疾患から二次的に起こる「二次性糖尿病」の発生も少なくありません。
糖尿病の初期では、飲水量が増える、尿量が増える、食欲が増す、痩せてくる、毛づやがなくなる、などの症状が認められます。さらに進行すると糖尿病性ケトアシドーシスという状態になり、元気がなくなる、食欲がなくなる、嘔吐するなどの症状が発現します。
診断は、症状、血液検査による高血糖、尿糖の確認によって行われます。
治療は、インスリンの注射が必要となる場合が多いです。一部では食餌変更、経口血糖降下剤、併発疾患の治療によってインスリンを使わずに維持できる場合もあります。
糖尿病は、初期の段階で発見することが難しく、状態が悪くなってから病院に連れてこられる場合が多い疾患です。普段からこまめに体重のチェックをしたり、水を飲む量や尿量に気を配ったりする事が早期発見に繋がると思われます。
天疱瘡
10年08月10日
天疱瘡は、ヒトのみならず、犬、猫、ウマ、ヤギなどにも発症する自己免疫疾患であります。犬の天疱瘡は、尋常性天疱瘡と落葉状天疱瘡とに大別されます。犬尋常性天疱瘡は、粘膜、粘膜皮膚境界部、皮膚のいずれかに、水疱、糜爛が認められます。犬落葉上天疱瘡では、皮膚に限局した膿疱、びらん、痂皮が認められます。病理組織検査では、尋常性天疱瘡では、皮膚基底層直上に、落葉状天疱瘡は、表皮上層において表皮細胞間接着の傷害による表皮内裂隙の形成が認められます。また症例の70〜80%で表皮細胞間に免疫グロブリン沈着が認められますので、ヒトと同様に、天疱瘡は、角化細胞同士の接着が自己抗体によって障害された結果、皮膚や粘膜に水疱、膿疱、びらんが形成されると考えられています。犬では、落葉状天疱瘡がもっともよく認められる自己免疫性疾患であると報告されています。その臨床症状は、病変が皮膚に限局されていることであります。よく認められる症状は、顔面、特に鼻稜、眼瞼、耳介皮膚における膿疱、発赤、痂皮形成です。また足底の角質増多が認められることが多くあります。尋常性天疱瘡の臨床症状は、口腔粘膜での水疱およびびらん形成が特徴であり、落葉状天疱瘡と異なり顔面の症状は少ないです。他に肛門周囲、性器周囲の粘膜皮膚境界部に皮診を認められることも多く、腋窩、そけい部にびらん、潰瘍が認められます。水疱は脆弱です。
天疱瘡の診断は、膿疱の細胞診、皮膚病理組織学検査、免疫学検査があります。
治療法はステロイドを主流とした、免疫抑制療法であります。その治療は一生にわたります。また日光をさけることで、症状が軽減する場合もあります。
喉頭麻痺
10年08月03日
喉頭麻痺は喉頭の動きが上手く動かなくなり、上部気道が閉塞する病気で、中年齢から高齢の犬に多い疾患です。好発犬種として、ラブラドール・レトリーバーやアイリッシュ・セッターなどの大型犬があげられます。病因としては、原因不明なことが多いですが、神経疾患や自己免疫疾患、内分泌疾患や腫瘍などが背景にあるものもあります。
症状としては乾いた咳、声の変化、呼吸時の雑音などがみとめられ、徐々に進行していくものですが、興奮、ストレス、環境等によって急性の呼吸困難をひきおこします。チアノーゼなどを引き起こし、死にいたることもあります。呼吸困難時の迅速な気道閉塞の解除が必要であり、それに引き続いて状態の安定化が重要です。
治療として、外科的な処置が有効です。軽度の場合には、環境の改善および安静の上、コルチコステロイド療法で管理できることもあります。



