南が丘動物通信

異所性尿管 10年07月20日

腎臓と膀胱をつなぐ管を尿管といいます。異所性尿管とは尿管が膀胱に開口せず、子宮、膣または尿道に開口している状態をいいます。そのため、異所性尿管では持続的な尿漏れがみられます。尿は酸性であるため、雌犬ではこの尿漏れが膣や外陰部の炎症の原因になることがあります。
この病気は3~6ヵ月齢に発見されることが多く、雌は雄の8倍も発生頻度が高いといわれています。また、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアやフォックス・テリアそしてミチュア・プードルとトイ・プードルでは発生リスクが高くなります。
静脈内に投与された造影剤によるX線検査でこの疾患を診断することが出来ます。また尿管を正常な位置へ開口させる外科手術で治癒しますが、重度な場合は障害のある尿管と腎臓を摘出することが必要となります。

犬・猫の血液型 10年07月13日

日々の診療において、病気の動物に対して輸血療法が必要となる場面は少なくありません。しかし、輸血を実施する際には供血動物(ドナー)と受血動物(レシピエント)の血液型に注意しなければ、輸血反応(輸血に伴う副反応)を引き起こしかねません。これは輸血された血液中に存在する赤血球抗原に対して、レシピエントがもつ抗体が反応してしまうことによって起こる免疫反応の一種で、重篤なものでは虚脱やショック状態に陥ってしまいます。

犬の血液型は複雑で、犬赤血球抗原(DEA)により分類され、9種類以上の型が判明しています。たとえ異なる血液型であっても、血液型を調べていない犬どおしの最初の輸血では、急性の輸血反応を起こすことはほとんどありません。しかし、2回目以降の輸血では、その血液型に対する感受性が高まっており、致死的な輸血反応を起こす可能性が高くなります。

猫の血液型は、A型、B型、AB型(非常にまれ)に分類されます。雑種猫の80%以上がA型といわれています。猫では、血液型の異なる猫から輸血を受けると、犬とは異なりはじめての輸血であっても輸血反応が起こる可能性があり、特にB型の猫にA型の血液を輸血するとたとえ少量の輸血であっても数時間以内に重篤な輸血反応が引き起こされます。

犬・猫の血液型は判定キットを用いて簡単に判定可能です。輸血が必要な症例では、緊急性の高い症例が多く、過去に輸血を受けたことがあるかどうか、血液型を調べたことがあるかどうか等、飼主様からの貴重な情報が役立つことも非常に多いのです。

犬の動脈管開存症 10年07月06日

動物は母親のお腹の中にいるとき、胎児循環という胎児特有の血液の循環経路を有しています。動脈管とは胎児循環のひとつで、肺動脈から大動脈へ血液が流れる血管です。胎児は自分の肺で呼吸せず、肺に血液を送る必要がないために動脈管があります。出生後すぐに動脈管は閉鎖して痕跡だけが残るのが正常ですが、動脈管が出生後も開いているのが動脈管開存症です。犬では最も多く認められる先天性心疾患で、遺伝性の病気です。
動脈管開存症では、血圧の影響で大動脈から肺動脈へと血液が流れ、大動脈の血液は少なく、肺動脈の血液は多くなります。肺動脈へ血液が多くなると、肺を通過して心臓の左心系へ戻ってくる血液の量が多くなり、左心系の負担が大きくなります。やがてうっ血性左心不全となり、肺水腫などの重大な徴候を示すようになります。動脈管が大きく開いている動物では、血液の流れが肺動脈から大動脈へと逆になり、低酸素血症、チアノーゼなど、より重度の症状となります。
動脈管開存症では連続性雑音や脈圧の上昇という特徴的な身体所見が得られ、心臓エコー検査が診断にとても有用です。心不全に至るまではなかなか症状を示さないため、入念に身体検査を行う必要があります。発見した場合は積極的な治療が必要で、外科的に動脈管を縛ることで根治的な治療も可能です。
この病気の症例のほとんどは子犬です。病気のことも含め、子犬を飼われた飼い主さんは分からないことが多いと思います。疑問等ありましたら当院へご相談ください

犬の指間膿瘍(膿皮症・フルンケル症) 10年07月04日

指間膿瘍は細菌性皮膚炎であり、寄生虫、アレルギー、真菌症、刺激性物質、腫瘍、代謝性疾患、神経性疾患および自己免疫性疾患によってひきおこされることもあります。様々な程度の痒み・疼痛・腫脹・紅斑および色素沈着がおこります。丘疹・膿疱・結節・瘻管・潰瘍がそんざいすることもあります。
通常、アレルギー・毛包虫症・甲状腺機能低下症・副腎皮質機能亢進症に続発しておきることがあります。
歩行の際に毛包内に毛が逆に入り込みそれがもとで炎症をおこしたり、ノギなどのような植物、異物がはいりこみ炎症がおこっていることもあります。慢性的に継続する場合や再発を繰り返す場合は、血液検査、尿検査、細菌培養および感受性試験、細胞診、組織検査、試験的切開などをおこない基礎的な原因をあきらかにして治療する必要性があります。指間線維症や化膿性肉芽種をひきおこすこともあり、症例によっては手術がひつようになります。一般的な症例は3~6週間における抗生物質療法やステロイド療法により治癒するものがふつうですが、アレルギーなど体質が関与していることが多く再発しやすいと考えられています。