南が丘動物通信

腹腔鏡下胃固定術 18年06月03日

 犬では胃拡張・胃捻転症候群という病気が発生します。これは食後に胃内に異常なガスが発生する事で胃が拡張し、重症化すると捻転して胃が壊死するものです。特に発生の多い大型の好発犬種においてはこれを予防するために、胃を体壁に固定するという手術を行うことがあります。開腹で行う方法としては、切開胃固定術、ベルトループ固定術などいくつかの方法が報告されています。

 人医療では内視鏡外科は広く普及し、さまざまな種類の手術が実施されています。近年では獣医療でも内視鏡外科の発展がめざましく、腹腔鏡を用いた手術が増えています。胃固定術もそのひとつです。開腹手術では皮膚を大きく切らないと胃を十分に引っ張ることが出来ません。しかし腹腔鏡手術をおこなえば小範囲の術創で済むため、獣医領域では早くからこの手術に対して腹腔鏡が適応されてきました。

 まずカメラを入れるための小さい傷を1カ所、そして胃を引っ張ってくるための鉗子を入れるための穴をもう1カ所あけます。お腹にカメラを入れ、目視で胃を確認後に胃を外に出すように体壁までひっぱります。そして鉗子を入れるための穴を5㎝ほど広げ、体壁と胃を固定するように外から縫合していきます。傷は2ヶ所になりますが、開腹手術の傷よりもはるかに小さくなります。

 胃拡張・胃捻転症候群は緊急的で致死的な疾病です。大型犬では特に要注意のため、予防手術についてお聞きになりたい方は診察へお越しください。

T.S.