南が丘動物通信

3月27日葉月会 猫の甲状腺機能亢進症の基礎 18年03月27日

3月27日に葉月会にて前回の講演「猫の糖尿病」に引き続いて石田卓夫先生による「猫の甲状腺機能亢進症」に関する講演がありました。

甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンが過剰になってしまう病態を甲状腺機能亢進症と言い10歳以上の猫に多く発生し、犬では稀に甲状腺癌に伴って起きるとされています。

血中の甲状腺ホルモンが増していくと血圧が上昇し、腎臓への血流量が増えることで多尿が起こります。継続的な多尿は次第に腎臓を痛めることとなり腎不全へと移行してしまいます。他によく見られる症状としては多食多飲、体重減少性格の変化(攻撃的、活動的になる等)などが挙げられます。このような症状が見られた場合、血液検査や画像検査を行うことで診断できます。甲状腺機能亢進症と診断し治療方法は内科的療法と外科的療法があります。内科的療法は甲状腺ホルモンの合成を阻害するチアマゾールと呼ばれる薬を継続的に服用し、血中の甲状腺ホルモン濃度を抑制するという方法です。外科的療法は甲状腺そのものを摘出する方法です。術後の管理として定期的に血中Ca濃度を測定し合併症が起きていないか確認する必要があります。甲状腺機能亢進症は特に猫において腎不全への移行を助長させるため早期治療が勧められます。

H.F