南が丘動物通信

家庭での歯みがきに慣れよう 17年08月20日

 日常診療の中で目にする機会が最も多い疾患のひとつは歯周病です。口臭や歯石の付着を気にされて来院される方も多く、全身麻酔下でのスケーリングを行い、抜歯の必要のあったわんちゃんも少なくありません。

 しかし、院内で歯の処置をさせてもらっても、おうちでのオーラルケアが十分でないと、すぐに処置前の状態に戻ってしまうこともあります。ですが・・・なかなかおうちでの歯みがきが難しい!というわんちゃんも多いのではないでしょうか。

 小動物臨床総合誌「j-vet」の8月号で特集されていた、おうちでの歯みがきを慣れてもらう方法について紹介させていただきます。

 まず、初めの第一歩は口腔内を触られるのに慣れることです。

 リラックスしているときに、指でマズル周囲や口唇を触って、受け入れられればすぐにご褒美を挙げてもらい「口の周囲に触られる=よいことがある」という条件づけを行ってもらいます。わんちゃんによってはこの段階に1-2ヵ月かけてもよいそうです。

次の段階では、ガーゼなどを指に巻き、水などで濡らして口の中を触る事に慣れてもらいます。短時間でご褒美をあげて、できるだけ嫌悪感を抱かせないようにします。このときガーゼを缶詰の汁などにして、口の中を触られるとおいしい味がする、と条件づけを行うことも有効です。(ガーゼを食べてしまわないように注意!)

 そして、ガーゼを使った方法にも慣れた後、やっと歯ブラシの登場です。

歯ブラシに好きな缶詰のごはんを付けて与えたりして、歯ブラシに対する嫌悪感をなくしていきます。ヒトとは違って、歯みがき後におやつをあげるのもよいでしょう。とにかく継続できるように、慣れさせてあげるのが重要です。

 ブラッシングの理想は1日1回以上を毎日と報告されています。口の中を触ることはなかなか難しいですが、快適な生活を送れるようケアしてあげたい部分です。

M.K