南が丘動物通信

2月28日 葉月会 循環器学シリーズセミナー 19年02月28日

今回は葉月会主催の循環器学シリーズセミナー「心疾患患者の胸部X線、心臓と肺の見方」日本大学の菅野信之先生のセミナーに参加してきました

1月31の超音波のセミナーに引き続いて今回はレントゲンでの心臓の評価の仕方を詳しく教えていただきました。胸部レントゲンは心エコーを撮るよりも必要な技術は少なく、どの病院にも必ずある装置なので、胸部レントゲンから読み取れる情報を的確に理解できれば、心臓の状態を理解できる有用なツールです。最近では心臓の評価は心エコーが主流ですが、レントゲンでは心臓が大きくなっているのが一目でわかったり、心臓だけでなくその周囲の血管や肺の評価もできるので、かなり重要な情報が詰まっています。

先天性の心疾患はレントゲンでも判別できる場合が多く、今回は各疾患における特徴的なレントゲン所見を詳しく教えていただきました。

肺高血圧症では肺動脈が拡大してきます。その評価方法は第九肋骨の径と比較するというもので、肺動脈の径が第九肋骨より、1.22倍以上に大きいと拡大しており、肺高血圧などの疾患があるという診断が可能です。この評価方法はレントゲンならではのもので、心エコーを行う前にレントゲンの所見をきちんと理解できていれば、心エコーを行う際にも、どこを重点的に調べるべきかわかるので、レントゲンでの胸部の評価は診断を迅速にするツールとしてとても有用だと思い、理解を深めていこうと思いました。

Y.N

2月22日葉月会 腎・泌尿器学 シリーズセミナー 19年02月23日

第3回 1から始める腎臓病のはなし

慢性腎臓病の治療の基本①

宮川 優一 先生 日本獣医生命科学大学 獣医内科学教室第二 講師

慢性腎疾患の犬猫について食餌管理をメインにお話していただきました。猫の特発性高カルシウム血症(明確な原因が不明)で35パーセントが尿石症を示したという報告があるが、宮川先生の症例で高カルシウム血症による尿管結石、閉塞性腎症といった病態をとる高リンでない慢性腎臓病ステージ2の猫では、腎臓病用処方食でなく、一般のシニア向けフード(ウェット)を食べさせているというお話は特に、たいへん興味深いものでした。

慢性腎臓病を悪化させる要因としては、蛋白尿・高血圧・高リン血症・脱水が知られていますが、そのリンをコントロールするうえで腎臓病用療法食は重要です。(リンの吸着剤だけでのコントロールはふつう難しい)。いろいろな論文報告をピックアップしながら、病態に合わせた治療選択について教わることのできるよい機会でした。

第四回の講義を楽しみにしています

M.K

ASC School ながたの皮膚科塾 第5回 精神皮膚科学 19年02月15日

5回目となる今回は、精神と皮膚との関係について学んで参りました。身体と精神には密接な関わりがあります。皮膚は身体の状態を反映する鏡ですので、良い皮膚をもつ動物は心身ともに健康な生活を営んでいると考えられます。今回の講義では、精神による皮膚病を他の原因による皮膚病と鑑別する方法をご教授頂きました。「かゆみ」を誘導する皮膚疾患はたくさんありますが、精神的要因で認められる皮疹には、決まりごとがあります。例えば、いつも舐めやすい・掻きやすい場所に病変が発生したり、毎日決まったタイミングで掻く、などの規則性が見られる場合が多いです。さらには、動物がストレスを感じるようなイベントが思い当たれば、その痒みは精神的要因が背景にあると考えてよいでしょう。

私たち人間は、ストレスを感じると自律神経のバランスが崩れ、心身の健康を保つことができなくなります。難しいのは、ストレスの感じ方というのは十人十色で、同じストレスを受けて平気な人もいれば、病気になってしまうほどのダメージを受ける人もいるということです。実は、動物も同じなのです。思いがけないないことが、大事なペットのストレスになっている可能性があります。特に猫は、犬よりも神経質な子が多いと言われていますので、ストレスの原因を探る際には、ご家族みんなで話し合うことが必要かもしれませんね。S.K



2月3日兵庫県開業獣医師会臨床研究会 19年02月12日

舞子ビラ神戸(兵庫県神戸市垂水区)で兵庫県開業獣医師会臨床研究会が開かれました。午前の部では、滝口満喜先生(北海道大学大学院 獣医学研究院 獣医内科学教室 教授)による「上腹部の超音波検査~走査のポイントと評価のコツ~」のご講演がありました。滝口先生のご講義では、一般診療で役に立つ超音波検査のコツを実際の症例画像を交えながら丁寧に教えていただきました。特に、どうしても空気の干渉を受けてしまう胃の評価を肋間から行うコツなどは、今日からの診療にも役立てていけると思います。

また、当院からは、日下瑞希「消化管間質腫瘍(GISTと診断され長期生存を得られている犬の1例」のポスター発表をいたしました。

M.K

2月8日 犬の臨床病理シリーズセミナー 19年02月08日

検査データから学ぶ臨床病理学 血液化学検査4~肝臓編~

小笠原聖悟 IDEXX Laboratories, 小笠原動物病院

 小笠原先生の臨床病理学のセミナーは基本から立ち返るには本当に為になる講義です。肝臓病は人と同様に犬猫でも遭遇する機会が多いですが検査項目も多岐に渡り、その意味と目的を理解するのは非常に重要になります。

 猫のALP上昇は病気に特異的で甲状腺機能亢進症と肝リピドーシスの際に上昇します。またGGTが乳腺の疾患で上昇することは盲点で勉強になりました。講義の終盤は実際の症例での検査データを基に考察を重ねるのですが、講義で勉強したことがそのまま当てはまるため、講義+症例で二重に理解を深めることができました。症例は非常に重症で、いくつかの病態が複雑に絡まっていたため難しかったですが、私たちが出会うであろう患者さんでも同様に考察できるようにしていきたいと思います。

T.S.

2月2日(土)、3日(日)日本獣医再生医療学会第14回年次大会 19年02月08日

アットビジネスセンターPREMIUM新大阪で行われました。日本獣医再生医療学会と日本獣医再生、細胞医療学会と合併し一般社団法人日本獣医再生医療学会として発足した初めての年次大会でした。臨床家とアカデミアが力をあわせてますます進化できるようにしていこうと合併されました。テーマがご家族に笑顔を届けられる細胞療法を実施するには、というテーマでした。再生医療や免疫療法は新しい分野ゆえに間違った方向に行かぬよう、十分なエビデンスを蓄積して動物やご家族の方々に良い医療としてご提供できるようにしていきたいと思います。須藤獣医師が症例報告の発表「1歳で発症した両側水腎症に脂肪幹細胞療法を実施した猫の1例」で会長賞をいただきました。

S.S